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太陽光発電の銅線盗難|防犯ポイントと効果的な対策について解説

太陽光発電の銅線盗難|防犯ポイントと効果的な対策について解説
防犯対策コラム

太陽光発電の銅線盗難|防犯ポイントと効果的な対策について解説

太陽光発電所での銅線盗難が深刻化しています。復旧には多くの費用がかかり、売電が止まると収益も減少。事業継続が難しくなることも…。その背景には、銅の価格高騰や転売のしやすさがあります。現場では、組織的な盗難も増えており、防犯対策の強化が急務となっています。

このコラムでは、太陽光発電所が狙われる理由や盗難の手口、効果的な防犯対策についてご紹介します。

\盗難対策、備えは万全ですか?/

社会問題化する太陽光の銅線盗難

近年、太陽光発電所での銅線盗難が相次ぎ、社会問題となっています。特に関東では被害が集中し、多くの発電事業者が影響を受けています。

盗難は設備の損失にとどまりません。復旧には多くの費用がかかり、売電が止まれば収益も減少。経営への負担が大きくなり、事業の継続が難しくなることもあります。NHK調べによる、盗難被害の件数は以下の通りです。

太陽光発電施設の銅線窃盗 被害の実態と背景は

出典元:太陽光発電施設の銅線窃盗 被害の実態と背景は|NHK
(データをもとに再編集)

また上記の件数は、ごく一部にすぎないとの見方もあり、発電事業者の間では「実際の被害はその10倍規模にのぼるのではないか」との声も上がっています。公表されている件数以上に、各地で頻発している実態がうかがえます。

現場では防犯対策の強化が求められていますが、発電所の立地や運営形態によっては、十分な対策が難しい場合もあります。さらに、銅線の盗難は発電事業者だけでなく、地域のエネルギー供給や安全にも影響を及ぼすため、早急な対応が必要です。

銅線の盗難が増えている背景

銅線の盗難が増えている背景には、銅の価格高騰があります。

銅は電気機器や建設業界など、さまざまな分野で必要とされる金属で、その市場価格は、国際情勢や需要の変動によって大きく変わります。最近ではその価格が高騰し、窃盗の標的になりやすくなっているのです。

銅建値

出典元:銅建値 | JX金属
(データをもとに再編集)

銅の価格高騰の理由には、電動車(EV)の普及やインフラ整備の拡大があります。さらに、資源供給の不安定さも影響し、銅の需要は高まり続けています。

その結果、転売目的の銅線盗難が増え、被害の拡大につながっています。

換金のしやすさも犯罪を助長
銅はリサイクルしやすく、加工後も品質がほとんど落ちません。そのため、スクラップ市場での需要が高く、盗難品が流通しやすくなっています。
国内外には多くの金属リサイクル業者が存在し、中には身元確認が十分でないところもあります。そのため、盗まれた銅線が簡単に売買されるケースも指摘されています。こうした環境が、銅線盗難の増加をさらに後押ししているのです。

太陽光発電が狙われやすい理由とは

太陽光発電が狙われやすい理由とは

太陽光発電所は、夜間に発電を停止し、無人の時間が長くなります。特に、郊外や山間部など人目につきにくい場所に設置されることが多く、犯行が発覚しにくい環境です。
発電設備には大量の銅線ケーブルが使われており、こうした特性から、組織的な窃盗グループにとって格好の標的となっているのです。

また、太陽光発電の設置が本格化し始めた当時は、盗難リスクが十分に想定されておらず、現在も警備に加えて、防犯面の備えが不十分な施設が少なくありません。実際、そうした対策の甘さが狙われる要因になっているとの指摘もあります。

盗難のターゲットとなりやすい発電所の特徴について紹介します。

人目につきにくい立地

山間部や郊外にある発電所は、周囲に目撃者が少なく、長時間の犯行でも発覚しにくい傾向があります

特に、防犯設備が不十分な施設はリスクが高く、狙われやすくなります。

また、発電所の周辺に側道がある、近くに車を停めやすいスペースがあるなど、逃走しやすい環境が整っていると、犯行のリスクが高まります。

高圧設備の発電所

発電所の種類によっても、盗難リスクは異なります。特に、50kW以上の高圧発電所は、太い銅線ケーブルを多く使用するため、狙われやすい傾向があります。

一方、常駐者がいる特別高圧発電所は、防犯体制が整っていることが多く、被害のリスクは比較的低くなります。

管理が不十分な施設

フェンスが低い、警報装置や監視カメラがない、照明が少ないなど、防犯対策が不十分な発電所は狙われやすくなります。

さらに、草が生い茂り、巡回や防犯点検が行われていない施設は、人の出入りが少なく無防備に見えやすいため、窃盗犯にとって格好の標的になります。

銅線以外にも多くの金属が狙われている?
銅線以外にも多くの金属が狙われている?

太陽光発電施設では銅線の盗難が目立ちますが、狙われるのは銅だけではありません。
金属価格の高騰により、建築資材の金属板、エアコンの室外機、マンホールや側溝の蓋(グレーチング)なども被害が増えています。これらには鉄や銅、アルミニウムなどが含まれ、解体や転売が容易なため、盗難が後を絶ちません。

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盗難の手口について

盗難の手口について

太陽光発電所を狙った銅線盗難は、単独ではなく複数人による組織的な犯行が多く見られます。

犯行グループは、事前に下見を行い、警備の状況や侵入ルートを細かく確認。その上で、計画的に動きます。犯行時には、見張り役と実行役に分かれ、連携しながら素早く盗みを進めるのが一般的です。

ここでは、その具体的な手口について詳しく紹介します。

短時間での迅速な犯行

犯行は主に夜間に行われます。発電所が無人になる時間帯を狙い、特殊な工具を使って短時間で銅線を切断。あらかじめ用意した盗難車両に積み込み、すぐに持ち去ります。

特に、広大なメガソーラー施設では、一度に大量の銅線が盗まれるケースも報告されています。

同じ発電所が繰り返し狙われる

一度被害に遭った発電所が、再び狙われることも少なくありません。防犯対策が不十分な施設では、何度も盗難が発生し、大量の銅線が段階的に盗み出されることもあります。

侵入経路の特定が困難

窃盗犯は、出入り口だけでなく、フェンスの弱点や監視の手薄な場所を狙って侵入します。そのため、どこから入ったのか特定が難しくなります。

防犯が甘い場所を見抜き、そこから侵入するケースが多いのが特徴です。

国際的な犯罪ネットワークの関与も
一部の事件では、外国人グループが関与しているケースも確認されています。不法滞在者が関わることもあり、SNSを使って実行犯を募る手口も報告されています。
盗まれた銅線は、非正規ルートを通じて国内外へ流通。組織的に転売されることで、犯罪がさらに広がる要因となっています。

盗難の影響は物的被害にとどまらない

盗難の影響は物的被害にとどまらない

銅線の盗難は、物の被害だけにとどまりません。発電停止による収益の減少や、修理・復旧にかかる費用の増加など、影響は広がります。

さらに、地域の電力供給に支障が出ることもあります。盗難が増えれば、再生可能エネルギー事業の信頼が揺らぎ、保険の適用が厳しくなることも避けられません。

ここでは、盗難による具体的な被害について紹介します。

発電停止による売電収益の損失

銅線が盗まれると発電が止まり、売電収益が大きく減少します。
大規模な発電所では修理に数か月かかることもあり、復旧が遅れるほど損失は増え、事業者にとって大きな打撃となります。

設備修理・復旧コストの増大

窃盗犯の行動は、盗難だけにとどまりません。PCS(パワーコンディショナー)や分電盤、遮断器、キュービクルなどの設備が壊されることもあります。
修理は単なるケーブル交換では済まず、機器の買い替えが必要になることもあります。

地域の電力供給への影響

太陽光発電は、昼間の電力を支える重要な役割を担っています。そのため、発電所が止まると、地域の電力供給にも影響が出る可能性があります。

特に、分散型エネルギーを支える発電所では、その影響がより深刻です。

再生可能エネルギー事業への信頼低下

盗難の増加は、再生可能エネルギー業界全体の信用にも影響を与えます。資金調達が難しくなり、中古発電所の価値が下がることで、事業の継続が厳しくなることもあります。

また、防犯対策の強化にかかるコストが事業を圧迫し、投資の減少につながるおそれもあります。

保険適用の制限

盗難被害の増加に伴い、保険会社も対応を厳しくせざるを得なくなっています。
補償の範囲が狭くなったり、保険料が上がったりするケースが増加。一部では、保険が適用されないこともあります。

一般的な防犯対策は?

被害を防ぐには、適切な防犯対策が欠かせません。
一般的な防犯対策について紹介します。

物理的な侵入防止策

高強度フェンス・ワイヤーロックの設置

高強度フェンス・ワイヤーロックの設置

施設の周囲に高強度のフェンスや有刺鉄線を設置し、不審者の侵入を防ぎます。
特に、高さ2m以上のフェンスを導入すると、侵入のハードルがさらに上がります。

ケーブルの埋設・固定

ケーブルの埋設・固定

露出したケーブルは盗まれやすいため、地下に埋めることで盗難の可能性が低くなります。
さらに、コンクリートで固めたり、配線ダクトを使ったりすることで、引き抜きを防ぐ効果があります。

監視システムの導入

監視カメラの設置

監視カメラの設置

発電所の要所に防犯カメラを設置し、不審者の侵入を防ぎます。
赤外線カメラや遠隔監視ができるタイプを導入すると、夜間でもしっかり監視することができます。

センサーライトの活用

センサーライトの活用

侵入者の動きを感知し、瞬時に点灯するセンサーライトは、犯行をためらわせる効果があります。
特に、人目につきにくい場所や侵入しやすいルートに設置すると、盗難リスクを下げることができます。

警備体制の強化

定期的な巡回

定期的な巡回

管理者や警備会社が定期的に巡回することで、不審者の下見や侵入を防ぎます。
万が一、被害にあった際も、フェンスや設備の損傷を早く発見し、すぐに対応できるようになります。

銅線の保管方法にも気をつけよう
使わない銅線や余ったケーブルは、施錠できる倉庫に保管し、屋外に放置しないことが大切です。
しっかり管理することで、盗難のリスクを大幅に減らせます。

防犯対策には課題も… カギを握るのはAIの活用

これまでにあげたような防犯対策には一定の効果がありますが、すべての発電所にとって十分とはいえません。特にメガソーラーのように広大な敷地を持つ発電所では、防犯体制の整備に多大なコストがかかるうえ、フェンスや監視カメラだけでは十分な抑止効果が得られず、状況に応じた追加対策が求められます。

こうした中で注目されているのが、AIを活用した防犯ソリューションです。

防犯対策には課題も… カギを握るのはAIの活用

日本遮蔽技研では、太陽光発電所での防犯ニーズの高まりを受け、銅線盗難を未然に防ぐAI防犯システムを開発。福島県内のメガソーラーに第1号機が設置され、実際に盗難防止の効果を上げています。

防犯対策を検討する際は、導入コストだけでなく、盗難による被害のリスクや事業への影響も踏まえて、早めに手を打つことが重要です。

太陽光発電所の防犯に課題を感じている方は、まずはお気軽にご相談ください。

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